こんな疑問に答えます。
✔ 生産技術職の仕事内容が分かります
生産技術の仕事に興味がありませんか?普段の生活では聞きなれない職種ですよね。
それもそのはず。製造業では超重要な技術なので会社の外には出ることがありません 。
この記事では初心者にも分かりやすく生産技術職の仕事を紹介していきます。
生産技術とは?
先日こういったツイートをしました。
ツイートの通り、生産技術とは製造業において品質の高い製品をより安く作るための技術 です。
製造業でもっとも重要なのが生産技術といえます。なぜなら生産技術がないと企業は利益を生み出せないからです。
利益は以下のように計算されます。
利益=売上-原価
生産技術は売上を大きくし、原価を下げる上で不可欠な技術です。
魅力的な商品を作る技術
生産技術が高いと売上を上げることができます。
他社がマネできない商品を作れば、値段が高くてもお客さんは買うからです。
お客さんが「高くても欲しい!」と思える製品を作れるウラ側には生産技術が隠れています。
高くてもお客さんが「欲しい」と思う商品
私が好きな一眼レフカメラを例に挙げると、良いレンズを使うと驚くほどきれいな写真が撮れます。例えばこちら。
ただのスニーカーを撮るだけでこれだけきれいな写真を撮れます。こういった一眼レフカメラのレンズは10万円を超える値段です。
消費者が欲しいと思う商品の裏には、価値を上げる生産技術が隠れています。 特殊な形状にガラスを削ったり、ガラスの表面に光を反射させない膜を付けたり…など。
具体的には非球面レンズと呼ばれ、技術に関してはカメラメーカーのHPに記載があります。
>>>非球面レンズの特長はコチラ(CanonのHP)
製品を効率的に作る技術
生産技術が高いと製品をより安く作ることができます。
10万円で売ってる商品を作るのに12万円のお金がかかっていたら、売るほど赤字になっちゃいます。
効率的に製品を作るうえでの代表的な視点は以下の通りです。
・1つの製品を作るスピード
・良品を作る割合
どれが1番、原価に効くと思いますか?
1個の製品をより早く作るのが大事
答えは「1つの製品を作るスピード」で作るです。専門用語ではサイクルタイムと呼びます。
高速で製品を作ることで、1個当たりの製造原価を下げることができます。例えばビールの作る方を見てみると、いかに高速で作られているかが分かります。
動画の40秒前後のビールを注ぐ工程に注目してください。泡立ちやすい液体を高速で注ぐ技術は、知ってる人からするとマジですごいです。
細かいですが、缶や瓶を搬送しながら注入する工程も「早いスピード」で作るコツだったりします。
生産技術のおかげで、100円ちょっとの値段でビール(発泡酒)が飲めるわけです。
ちなみに、生産技術職に就職したいなら「生産技術がないと企業は利益を生み出せない」ことを覚えておきましょう。
就職活動や転職活動で面接官に好印象を与えられますよ。
なぜなら採用が進むと部長や役員が面接官を務めます。決定権を持つ人に「こいつ分かってるな」と思われたら内定がグッと近づきます。
生産技術職の仕事内容
生産技術職の仕事内容は、品質のよい製品を安定して生産する生産設備をつくり付けることです。
生産技術職の仕事は以下の2つに分類されます。
- 新規の生産設備を導入する
- 既存の生産設備を改善する
新規の生産設備を導入する
生産設備を立ち上げる仕事は大きなやりがいを感じられます。
なぜなら成果が目に見えるからです。
例えば建てられたばかりの工場は空っぽです。体育館のように何十メートルもあるスペースがあるだけです。
何もなかった場所に自分が手掛けた生産設備が並び、製品をつぎつぎと量産する姿を想像してください。感極まって泣いてもおかしくないです。
ゼロからイチを作るので苦労は大きいですが、量産を開始した製品が出荷されるの瞬間に立ち会うとすべての苦労が報われます。
既存の生産設備を改善する
既存の生産設備を改善して、生産性を向上する仕事には緊張感を伴います。なぜなら予定通りの数の商品を工場から出荷できない事態が起こりうるからです。
改善とは悪い状態をよくすることです。工場における悪い状態とは計画通りの品質あるいは数の製品を作れないトラブルの状況を意味します。
例えば、生産設備がトラブルで停止すると、生産技術職の人が現場に急行して対応します。予定通りの製品を作るにはいち早くトラブルを解決する必要があります。
生産技術職が扱う生産設備|2種類
と思う人もいますよね。具体例を交えて紹介します。
生産設備とは材料を投入して製品にするための機械であり、2つに分類されます。
- 市販されている機械
- 世の中に存在しない機械
個人的な経験から言うなら、やりがいがあるのは「まだ世の中に存在しない機械」を手掛けた時です。
なぜならコンセプトから機械を作るのが楽しいからです。自分の頭の中で考えたものが実際に工場で動いている姿を見たときは感動します。
市販されている機械
機械が掲載されたカタログから選ぶだけで買えるような機械です。
Amazonのように商品を「これ!」と指定すれば買えます。(乱暴なイメージですが…)
例えば以下のような機械があります。
- プラスチックの射出成形機
- 電子基板を作る実装機
- 金属を曲げるプレス機
それぞれの機械を得意とする専門のメーカーがあります。
世の中に存在しない機械
買ってこられるような機械ではなく、ゼロから作る必要がある機械です。製品の特徴に合わせた特注した機械とも言えます。
例えば軽自動車とトラックを作るのでは大きさが違うので、それぞれに特注した機械が必要ですよね。
特注した機械の一例が自動車の溶接機です。
動画にあるようにたくさんのロボットが並び、作業をします。
部品を溶接するにはどこにロボットを配置して 、どの様に動かすか。さらに車体はどれくらいの速度で動かすか…といったことを考えなければいけません、
機械を内製する会社もある
特注の機械は世の中で売られていないので、誰かが作らないといけません。
特注する機械を専門につくる会社をSIerやロボットベンダーなどと呼びます。お客さんの要望に応じた機械を設計、製作して納めるのが仕事です。
しかし、 ロボットベンダーにお願いすると、競合他社にも機械を売られてしまう恐れがあるので、自社で行う(内製)会社もあります。
生産技術職に必要な専門性│3つある
と不安に思う人もいますよね。
生産技術職に求められる専門性は以下の3つです。
- メカ:動くものの専門家
- エレキ:動かないものの専門家
- ソフト:目に見えないものの専門家
あなたがすべてを理解する必要はありません。なぜなら生産設備は異なる分野の専門家が協力して作り上げるからです。
生産技術職に就きたいあなたはどれか1つを専攻していることが望ましいです。
会社により定義は異なります
生産技術職の専門性①:メカ
メカはメカニカルの略で、日本語では機械工学を意味します。
辞書によると機械の意味は以下の通り。
外力に抵抗できる物体を組み合わせ、動力によって一定の運動を起こし、その結果、有用な仕事をするもの
Oxford Languages
よく分からないので、簡単に説明します。
動くものを取り扱う
メカ系の生産技術者は動くものすべてを担当します。自動車の溶接機から一例をあげると、ロボットを担当します。
写真の通り、 先端に何も付いていないのでロボットだけでは仕事ができません。溶接作業をするには金属を溶かして接着する機械を先端に取り付ける必要があります。
ロボットは何kgまで持ち上げることができるか。製品に届くためにロボットの長さはどれくらい必要か。
求められる条件に見合うロボットをメカ系の生産技術者が選定します。もし世の中になければ、開発、設計することもあります。
生産技術職の専門性②:エレキ
エレキは機械を制御するための設備を扱う専門性です。エレキあるいは電気(ハード)と呼ばれます。
目に見えるものを(電気部品)扱うので「ハード 」という言葉を使います。
動かないものを取り扱う
機械が動くには電流の変化などの「きっかけ」が必要です。 機械にきっかけを与えるものを取り扱うのがエレキ系の生産技術者です。
動かないものを取り扱うと覚えるとよいでしょう。
代表的なものがPLC(Programmable Logic Controller)です。 三菱電機の製品名である「シーケンサ」の方が通じることもあります。
シーケンサがロボットを動かしたり、止める指令を出します。
メカ系の生産技術者である私から見るとPLCってただの箱ですが…(笑)この他にセンサーを選定するのもエレキ系の生産技術者の仕事です。
生産技術職の専門性③:ソフト
ソフトは制御プログラムに関する専門性です。電気(ソフト)とも呼ばれます。
ロボットを動かすシーケンサが理解できる言語で指示を出すのがソフト系の生産技術者の仕事です。
目に見えないものを扱うと覚えるとイメージしやすいでしょう。
(タッチパネルの画面の設計もしますが…)
いま注目の専門性
ソフトは製造業で注目が集まっています。なぜなら工場のIoT化やIndustory4.0といったブームが起こっているからです。
大量のデータをやりとりするにはソフト系の生産技術者の力が不可欠なのです。
経済産業省によると、重要になってくる能力としてデジタル技術が取り上げられています。5年後には現在の約3倍まで重要性が高まるといわれています。
デジタル技術をものづくり現場等へ導入・活用していく能力
現在 10.9%
5年後 32.4%
出所:2020年版 ものづくり白書 (経済産業省)
生産技術職の年収
生産技術職に就く場合に気になるのがお金ですよね。
結論から言うと、生産技術職の年収は平均の給与所得と同等です。また、製造業の中では高い水準にあると言えます。
求人ボックスによると生産技術職に従事する正社員の給与情報は以下の通りです。
平均年収 | 468万円 |
月給 | 39万円 |
初任給 | 21万円 |
また、国税庁によると給与所得者の平均給与は以下の通りです。
平均給与467万円
令和元年分 民間給与実態統計調査(国税庁)
差は1万円しかなく、ほぼ同等と言えます。
製造業の職種別にみると高い水準
製造業の職種別に比較してみると、生産技術職の年収は高いと言えます。なぜなら、会社の利益に影響する重要な仕事だからです。
例えば、製造業の職種別で年収を比較しても自動車開発と同等の給与水準です。
自動車を開発するのと同じくらい生産設備は重要でありお金を払う価値があると企業は考えているのです。
【まとめ 】生産技術職の仕事内容
生産技術は会社の利益に直結する重要な技術です。
生産設備を作りつける上では、3つの専門分野の生産技術者が連携して仕事を進めます。
製造業の職種の中でも年収は高い水準だと言えます。
生産技術職の仕事内容が分かったので、次は「どんな人が生産技術職に向いてるの?」と思いましたよね。
まとめ記事では生産技術のノウハウをすべて公開しているので、ぜひチェックして見て下さい。
自分でもできる仕事なの?
具体的に何をするのか知りたいな!